減量=油を抜く という発想の方は案外多いものです。炭水化物、蛋白質、脂質の三大栄養素の中で、
もっとも高カロリーであるのが脂質なので間違ってはいないのですが、完全な油抜きダイエットは肌や髪をパサパサにしたり、
便秘にしたりなど、悪循環を起こすことも多くあります。
三大栄養素として必要な脂質ですから、減らすことよりも「上手に摂取する」ことを考えましょう。
魚介類の油に代表される「ω3脂肪酸」に分類される良質脂質は、血管を若返らせる抗酸化効果や、血管老化だけではなく、
ガンやアレルギーにも関係する「炎症」を鎮める効果があり注目されています。ガマンするどころか、むしろ積極的に摂りたい脂質です。
一方で、古くなって酸化した油は、カロリーが高いだけでなく体の中でも酸化物質として働き動脈硬化の原因となり得ます。
油だけは贅沢をして、大瓶で買いだめをするのではなく、小瓶を酸化しないうちに使い切るようにしましょう。
ω3脂肪酸は熱に弱いので、アマニ油やえごま油は高温調理には向かないことを覚えておきましょう。
ドレッシングとしての利用や、(やや青臭さがあるので)オリーブオイルやバルサミコ酢などと混ぜて使うことをお勧めします。
麺つゆと混ぜて冷ややっこなどにかけるのも美味しいです。
抗酸化物質であるビタミンEを多く含むグリーンナッツオイル(インカインチオイル)やカメリナオイルは加熱可能でより使いやすいと思います。
脂質異常症でコレステロールが高いと診断された方が、一生懸命に油の量を少なくするようにガマンしておられることがありますが、
食事からのコレステロールの摂取量を減らしても、体内(肝臓)で作られるコレステロールの量が増えるだけで、あまり意味がありません。
動物性脂肪の摂りすぎはよくありませんが、アルコールを含む食事量が適量で、運動も睡眠も適正なのにコレステロールが高いと診断される場合は、
体質が原因していることがほとんどですので、内服治療について内科医に相談しましょう。
コレステロールが高い方にとっても(だからこそ)良質脂質摂取は不可欠です!